啓蟄を季語でつかう時期、俳句の紹介!有名な俳句も

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啓蟄を季語でつかうとき

啓蟄を季語でつかう時期、俳句の紹介!有名な俳句も

啓蟄とは二十四節気の3番目で春の季語。

「哲」の字には「開く」「開放する」の意味があり「蟄」の字には「虫が土の中にこもっている様子」を表します。

啓蟄とは土の中にこもっている虫たちが春の陽気を感じて外に出てくる、春の訪れを表す言葉になっています。

啓蟄をさらに具体的に表現した季語
・地虫穴を出づ
・蛇穴を出づ
・蜥蜴(トカゲ)穴を出づ
・蟻(アリ)穴を出づ

この時期に鳴る雷を「虫だしの雷」ともいいます。

春の雷に驚いで土の中にいた虫たちが地上にでてくる様子を表します。

ちなみに、啓蟄の期間は2020年は3月5日~3月19日となります。

ひな
こちらの記事で啓蟄について詳しく説明しています。
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啓蟄の俳句を紹介 有名な俳句も

啓蟄を季語でつかう時期、俳句の紹介!有名な俳句も

啓蟄は言葉の意味や響きも印象的で俳句で使用する春の季語として人気があります。

季語の啓蟄をつかった俳句を紹介します。

啓蟄の庭とも畠ともつかず 安住敦

庭か畠(畑)かよく分からない手入れされていない場所。虫たちにとっては場所などおかまいなしで、春の陽気を感じて地上に出てくる様子がうかびます。人と虫が見た目や場所にこだわらないことも表現しており、面白さもあります。

啓蟄のとぐろを捲いてゐる風よ 島田牙城

春の訪れの啓蟄ですが、この句ではまだ春の寒さを強く感じます。風を「とぐろを捲いて」表現したことで、悪い印象を受けます。地上に出てきた虫たちはこの風を感じて驚くのではないのでしょうか。薄手の上着で外出したところ「まだ春は先だ」いわれるような強い風をうけ、厚手のコートを着る様子も思い浮かびます。

啓蟄や押し方馴れし車椅子 三村八郎

車いすを押すのは地上の凹凸もあり大変なもの。馴れないと地上に引っかかるところはないか、スムーズに進めないかに意識が集中します。作者は車いすを押すのにやっと馴れてきたところでしょうか。車いすを押すことだけではなく、啓蟄の時期、土の中にいる虫たちが出てくる頃かということにも意識を向けられるようになります。車いすの押し方が上手になった喜び、他のことにも目を向けられるようになった気持ちのゆとりを感じます。

啓蟄や土まだ知らぬ嬰の足 吉田一郎

嬰(みどりご)とは生まれたばかりの子ども。赤ちゃんをさします。新芽のような子という意味から嬰児(みどりご)と言われています。まだ立ち、歩いたことのない嬰は地上の土を知りません。これから自分の足で立って歩き、人生を歩むでしょう。啓蟄を季語にしたことで、嬰をいとおしく思い成長を楽しみにしている様子がみえます。

啓蟄のひとり児ひとりよちよちと 飯田蛇笏

この句はたまたま訪れた知人の家の子供の様子をみて作られました。啓蟄の暖かい日差しのなか、児が親の手を離れやっと歩けている様子を表しています。啓蟄の時期と、児の成長も重ねた暖かさを感じますね。

啓蟄の蟻が早引く地虫かな 高浜虚子

地虫をはコガネムシやカブトムシの幼虫を表します。蟻が春の訪れを感じ地上にでてきました。久々の地上に嬉しさを感じていましたが、地虫たちも出てきたたため蟻は驚き。身の危険を感じ慌てて逃げる様子がうかびます。

啓蟄に引く虫偏の字のゐるはゐるは 上田五千石

虫という漢字はもともと蝮(まむし)を表す象形文字でした。虫偏は多くの虫たちを漢字で表現しています。昔は虫は蛇や蜥蜴(トカゲ)、蛙(カエル)なども虫と呼んでいました。啓蟄の土の中にこもっている虫たちとは様々な虫をさしています。作者は虫偏の漢字を辞書で引いたらたくさんあったという「ゐるはゐるは」という言葉で気持ち悪さを表現しているようです。

啓蟄の煙が松の幹のぼる 桂信子

啓蟄の園芸の風習で、松の幹に巻きつけていたコモ(わらで編んだような敷物)を焼く風習があります。冬の前にコモを松の幹に巻くと害虫が寄り、啓蟄の日にコモを取り外して焼くことで害虫駆除の効果があると言われてきました。俳句では啓蟄の風習であるコモを焼いている様子を表し、煙がのぼる様子とともに虫たちが土の中から地上へ出てくる春の訪れの様子を表現しています。過去から一新、新たな旅立ちを感じますね。

啓蟄を季語でつかう時期、俳句の紹介!有名な俳句も まとめ

啓蟄は春の季語。

啓蟄とは土の中にこもっている虫たちが春の陽気を感じて外に出てくる、春の訪れを表す言葉です。

まだまだ紹介しきれないほど啓蟄が季語にある俳句がたくさんあります。

春の訪れを感じて暖かさを感じる俳句、反対に春の厳しさを表す俳句もあり、面白さも感じますね。

ひな
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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

日本文化について学んでいる「ひな」といいます。
春夏秋冬、イベントや慣習がたくさんの日本。
たくさんイベントがありすぎて
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